2025/05/15 00:42

この作品は、江戸時代に実際に使われていた駕籠をもとに再構築されたものです。
駕籠(かご)は、江戸の街道を行き交う人々の姿を思い起こさせる、日本の伝統的な乗り物。
その歴史あるかたちが、アーティストKATSUYOSHI KAMEDAの手によって、まったく新しい表現として《KAGO》へと生まれ変わりました。
外装は大胆に取り払い、木材と金具のみで構成された“構造そのもの”を剥き出しにしています。
これにより、重さという物理的な存在感を超えて、線と面の造形美が空間に静かに浮かび上がります。
担ぎ棒の潔い直線、屋根に残された柔らかな曲線、そして全体に宿る凛としたバランス。視線は自然と「本来のかたち」へと導かれ、見る者に新たな発見を促します。
かつては人を運ぶ道具であり、紛うことなき和のデザインが、現代の空間に調和するアートピースへと生まれ変わっています。
アーティストの手によって、歴史的な価値から美的価値へと再構築された大胆さこそがこの作品の醍醐味です。